岐阜デリヘル物語

・岐阜デリヘルで女王になった私

「もっと罵ってください」「ありがとうございます」「窒息させてください」「お願いします」「ありがとうございます」「イカせてください」「ありがとうございます」「ぶっ叩いてください」「ありがとうございました」

女王様の仕事なんて簡単だ。気が向いたときにM男の言うことを聞いてやり、実行するだけで感謝の言葉をもらえることができるからだ。通常の暮らしをしていても短時間でここまで感謝の言葉を得ることはできないだろう。M男の要望に気まぐれに応えてやらないだけでも、奴らは勘違いして喜んで感謝の言葉を告げる。仕事はわがままし放題、適当にやっつけ仕事をしても感謝の言葉をもらえる、お金もOLよりは多く得ることができている、だがなんだろうこの空虚感は。
私が今デリヘルを行っている場所に問題があると仮説を立てて、岐阜へと身を移すことにした。男に自分の身体を好き勝手に弄ばれるのは耐えることができないと確信があったので、岐阜デリヘルの中でもSM専門やM性感と呼ばれるジャンルのお店だけを探して調査を開始した。すると岐阜には数えきれないほどの風俗店が存在しており、私が選ぶのに迷ってしまうほどだった。
悩んだ私はSM専門の中でも比較的給料の良いお店を選択して働くことに決めた。幸い女王様歴は5年を超えていたため、すんなりと面接を通ることができ、無事岐阜のデリヘルで働くことになった。女王様が行うプレイはどのお店も同じようで、お店の規則やプレイ内容を確認したけど前のデリヘルと変わりがなかったので面接に行った初日から働くことになった。
風俗嬢が移籍する時、常連客は私の後を追ってくるものだけど、岐阜から遠く離れた地方で働いていた私は、「突然明日から行きません」とお店に告げたので、お客さんにこれからどこのお店で働くのか、それとも風俗業界から足を洗ってしまうのかも告げなかった。だから私を指名する常連客はいない。心機一転岐阜の地ではどんなお客さんと巡り合うのか楽しみにやってきた私にはちょうど良い現場といえる。
写真撮影を行い、スリーサイズと源氏名を前に在籍したSM店とは違うものに設定した私は早速HPにupされた。
(この写真とスリーサイズから私だって思う人はいないだろう。これで安心して岐阜のデリヘルにやってくるお客さんの本質を知ることができる)
写真をHPに掲載してから20分ほどだっただろうか、お店の電話が鳴り、早速私の指名があったとのことだ。
岐阜で風俗を利用するM男はどんなやつなのか、私は空虚感を埋めてくれるような出会いに期待して現場へと向かった。

・岐阜デリヘルでの初めてのM男

「初めまして、今日はよろしくお願いします。女王様」
岐阜に立ち並ぶかっこいいホテルの一つへとやってきた私を待っていたのは机でパソコン作業を行っていた出来るエリートサラリーマン風の男だった。オシャレなホテルでデリヘルを利用する岐阜の客にも驚かされたのだが、中にいたのは、私が今までサービスを提供したことのないタイプだった。私が今まで女王様として罵ったり踏んづけたりぶっ叩いたりした男は、いかにもいじられっこで全身からイジメてくださいと言うオーラを発していたのに対して、目の前の男は一見するとM男とは関係なさそうな容姿で驚かされた。
私が戸惑っている表情を怒っている表情に勘違いした男は私が持っていたカバンを持ち、ホテルマンのようなエスコートで紳士的に私を部屋へと誘導した。部屋に入るとSM専門店ではどんなプレイをされたいのか、SM経験は今までにあるのかなどのアンケートを取るのだが、男は不敵な笑みを浮かべて「僕はSM初心者なんですけど、女王様の好きにしてください。何でも受け入れます」と言ってきたのだ。
このセリフはある意味挑戦状ともとれる。要約すると「お前の女王様スキルで俺にMの魅力を感じさせてみろ」ということだ。その一言でスイッチが入った私は、今までのSM専門店で培った技術を生かして、極上の快感を与えようとした。すると、イカせるにはイカすことが出来たのだが、男の顔は不満でこの程度なら女王さんに頼らなくてもいいかなと物語っているようだった。その顔にむかついた私は思わず女王様であることを忘れて聞いてしまっていた。「何がそんなに不満なんだ」と。すると男は不満げな表情を浮かべたまま私見つめ返してきてこう言ったのだ。
「女王様お言葉ですが、あなたのプレイには感情がこもっていない。確かに女王様としてのスキルは高いのですが、それじゃあまるで女王様サイボーグです」
私はハッとして女王様である前に風俗嬢として大事なことに気付かされた気がした。岐阜デリヘルのSMで適当な仕事をするだけでお金が貰え感謝の言葉を頂けるうちに私は機械的に業務をこなすようになってしまっていたらしい。
「貴方が女王様になったキッカケは何ですか?」
「M男のくせに生意気なんだよ」
私はビシッと鞭でしばくと、自然と笑顔になっていた。不満げだったサラリーマンも私の本当に楽しそうな表情を見て笑顔がこぼれていた。悔しいことにM男なんかに女王様として大切なことに気付かされたけど、私はこの岐阜デリヘルでなら本当のサービスを手に入れられる気がした。ま、その前にやるべきことがあるけど。
「女王様に意見するなんて100年早いのよ!」

・岐阜デリヘルで再開したM男

何の感情すら持たずただ淡々とM男をイジメ続ける日々は過ぎ去った。
「ほら、もっと口を開けて、懇願しなさい」
「私のお口に唾液をください…」
「ふふふ、いい子ね。ご褒美よ」
岐阜にあるSM専門のデリヘルで初めてサービスを提供した客に女王様として大切なこと、Sに目覚めたての時の気持ちを思い出し気付かせてもらった私は、冷酷な女王様から愛情の女王様として生まれ変わり、岐阜のデリヘル界で一目を置かれるようになった。地方から私目当てで岐阜までSMのサービスを受けるというお客さんもいるぐらいの私だったのだが、1つだけ気になっていることがある。
(最初のお客さん、来ないかな…)
そう私にSM嬢として大切なことを気付かせてくれたビジネスマン風のM男が最初の一回だけで私の目の前に現れることはなかったのだ。普通の女の子が男の人に会いたいと思うことはイコール恋と誤解されがちだけど、私の場合は違う。
(成長した私の姿見てほしいな)
女王様としての自信を深めた私はどんなM男でも愛おしく思えるようになり、感謝の気持ちもある最初のビジネスマンにリベンジを果たしたかったのだ。
しかし、男が岐阜のデリヘルに来ることはないまま、1年の月日が経過していた。私は愛情の女王様としてネットテレビに出演したり、風俗雑誌のインタビューに応えたりして、日本のSM界では知らない人がいないほどの存在となっていた。そんなある日、私の今後の人生を揺るがす事件が起こったのだ。
「やぁ久しぶり」
男が目の前に現れた。誕生日でも初めて出会った日でも、何も特別な日ではない平日の昼間にビジネスマンは私の目の前に唐突に現れたのだった。私が驚きすぎて口をパクパクしていると男はM男のくせに私の頭を撫でて落ち着かせた。
本来なら女王様である私にM男が頭を撫でたら嫌がる場面なのだけど、不思議と不快な思いはせず、私は目を瞑ってそれを受け入れた。
「ずいぶん。活躍しているみたいだけど…無理していない?」
「ありがとうございます。大丈夫です」
「ほらその返事がもう女王様として無理している何よりの証拠だよ。普通の女王様なら罵倒する場面だし」
「それは、突然だったからで…」
「いや違う、なぜなら君の本質は女王様ではなくM嬢だからだ」
時間が止まった気がした。私が何かを言い返そうとする前に男は言葉を紡いだ。
「愛情の女王様なんて存在しない。君のM男たちへの愛おしさは、M女が奉仕しているのと変わらない」
衝撃的な発言だった。自分はM女?混乱の渦の中、口に無理やり押し込められた肉棒を私は嫌がる素振りすら見せず咥えこんだ。
私は岐阜のデリヘルにいまでも在籍している。

岐阜デリヘルの裏話